三上良平氏はAmazon出店者をはじめとするEC事業者のサポートをサービス展開するファーストトレード株式会社の代表取締役社長。
同社は顧客の声を第一に、仕入から販売支援まで、EC事業者に寄り添ったトータルサポートを行っている。自社ECサイトをゼロから月商3000万円にまで成長させた経験と、全国の会員企業(3250社)の悩み相談によって得られた知見を元に、特にAmazonセラー担当者の業務効率化を支援している。
「目標達成までのプロセスの最適化」と「成長段階に応じた利益の最適化」に大きな強みを持ち、資金調達から会計まで全てのプロセスで一貫した「利益を残す」経営計画の作り方と、ユーザー目線での仕組みづくりに定評がある。
また、自社ブランドとしてオリジナルメンズバッグの生産・販売も行っている。
今回はEC事業者支援サービスでグローバルに展開する熱き三上氏の人柄と今後の展望に迫る。
三上 良平 氏
1977年福井県あわら市生まれ。
福井工業大学附属高校卒業後、15以上の職業を経験。副業で始めた輸入ビジネスでの失敗からヒントを得て2011年4月ファーストトレードを設立。
同社、代表取締役に就任。現在に至る
飽きっぽさは行動力の原点
三上さんの経歴から教えてください。
高校を卒業後、自動車修理工にメガネの企画・販売、内装職人にホテルのフロントマン、トラックの運転手、色んな経験をしてきました。
なぜ色んな仕事に就かれたのですか?
高校卒業時に目指したのはカッコ良さに憧れ「消防の音楽隊」でした。
その夢がかなわなかった時、「好きなモノに向き合いたい」「手に職をつけたい」という基準で仕事に就きました。
一つの仕事で極めたいという想いは無かったのですか?
どの仕事も面白かったんです。ただ自分でいうのもなんですが元来が器用なのと飽きっぽい性格でどうも三年くらいすると他の仕事に移りたくなっちゃうんです(笑)
なぜ飽きっぽい性格の三上さんが起業に至ったのですか?
家族を守るために最後にたどりついたトラック運転手の傍ら副業でインターネットビジネスを始めたんです。
中国から輸入代行業者を通じて商品を仕入れネットで販売していました。
この副業が私に転機をもたらしてくれました。
順調に運営できましたか?
全く、逆です。(笑)
やればやるほどトラブルだらけです。
発注しても商品は届かない、メールしても返事が来ない、送金した後、連絡がつかなくなった。などなど数えたらキリがありません。
自分の貯蓄も全て使い果たして挑戦したのに結果がこれだったので本当に後悔しました。
自分がいくら計画をたてて頑張っても輸入代行業者とのやりとりが予定通りに進まないと計画も資金繰りも一気に狂ってしまう。これが一番悔しかったですね。
当たり前のことを提供できる強みをもつ
人生のどん底を経験したのですね。失うものは何もない状況の中で三上さんはどう考えたのでしょうか?
同じネット販売を行う仲間たちと話していると、みんな同じ悩みを抱えているんですね。
「ならばいっそ自分で輸入代行業をやろう!」と決意しました。
「日本では当たり前なことがなぜ出来ないんだろう?」
この当たり前をサービスとして提供し、安心して取引の出来る環境を作ったらビジネスになると考えたのです。これがきっかけとなりファーストトレードを創業しました。
同業者の中でも収益面でトップクラスを堅持出来ているのはなぜですか?
当たり前ですけどお客様(EC事業者)を見て使いやすいように商売しているからなんです。
当社のクラウド受発注システムや中国サイドの物流機能、バックオフィスのスタッフたちによるマンパワーなどにより顧客対応のきめ細かさと迅速さを実現し、常にお客様に寄り添ったサービスをご提供してきました。
業績はどのように推移していますか?
2011年に起業し4年間で売上高は20倍になりました。2017年にEC事業者支援のCiLELに事業転換してからも、流通総額は拡大し続けています。 常に一歩先を見据えて、守るべきところは守りつつ、攻める場所ではしっかり攻めるという経営を続けています。
今後のビジョンはいかがでしょう?
今、働き方改革の動きが広がっています。大手企業では既に、副業を認める動きが広がっており、この流れは今後も拡大すると予想されます。副業としてEC事業をはじめた「新・副業層」のお客様にも、当社のCiLELは高い評価をいただいております。
CiLELは「お客様の時間を生み出す」サービスを多数展開しており、お客様のECビジネスをトータルでサポートすることが、結果として多様な働き方の普及につながると考えています。
また、当社のサービスを通じて商品の流通のグローバル化を促すことが、日本と海外、双方の経済や産業の発展にもつながると考えています。
「ECで世界をつなぐ」というビジョンのもと、日本と世界をつなぐサービスを創っていきます。
社員一人ひとりの夢を乗せることが出来る会社にする
目標到達のためにどんなかたと仕事がしたいですか?
大きな志と自分なりのビジョンを持ち、新しいことに挑戦する意欲のあるかたですね。
ファーストトレードを「社員一人ひとりの夢を乗せた会社」にしていきたいと考えており、そこに一緒に取り組んでくれるかたに出会えたら嬉しいです。
具体的にはどういうことでしょう?
具体的には、今後10年のあいだに「社長を5人育てる」という目標を掲げています。
スタッフにはいつも「うちを辞めても食べていけるようになってほしい」と言っています。個人のビジョンを会社のビジョンに乗せて、一緒に成長しながら仕事をしたいと考えています。
社員さんに求めるハードルが高そうですが・・・(笑)
当社で働く人たちに求めるのは、「ECで世界をつなぐ」というビジョンに挑んでもらうこと。
それに尽きます。
ですから、ハードルが高い・低いということではなく、大切なのはこのビジョンに共感できるかどうかです。
実際、それぞれ立場や環境が異なるスタッフたちが、ともにこのビジョンに挑む中でチームワークが生まれ、それが仕事の質の向上にもつながっています。
そのため、採用時はスキルや経験以上に仕事に対する熱意や姿勢を重視し、やりがいを持って取り組んでいただければ、パート社員であっても正社員以上の評価をしています。
雇用形態に関わりなく個人のスキルを最大限に発揮してもらうため、2017年からは働き方改革にも取り組んできました。
働ける時間に制約がある優秀な女性スタッフをマネージャーに登用したり、一部事業所ではリモートワークも導入しています。リモートワークは全社的な導入に向けて検討を進めているところです。
私は、こうした働き方改革が当社で働くすべての人たちの夢の実現につながり、当社を応援してくださるお客様や従業員の家族、取引先の皆様に対してもより高い価値を提供していけるものと信じています。
社名 | ファーストトレード株式会社 |
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所在地 | 〒919-0628 福井県あわら市大溝3丁目3-18 |
国内拠点 | 東京オフィス、横浜オフィス |
従業員数 | 29名(社員16名、パート社員13名) 2019年4月1日現在 |
資本金 | 22,654千円 |
事業内容 | EC事業者支援サービスCiLEL ECセレクトショップTRANSICの運営 |
URL | https://fast-trade.co.jp/ |
2011年4月 | ファーストトレード株式会社設立 資本金1,000千円 |
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2013年4月 | 配送代行サービススタート |
2014年4月 | メンズバッグブランド「GOLDMEN」立上げ |
2015年4月 | 東京オフィス開設 |
2016年3月 | 東京オフィスを南青山へ移転 |
2016年4月 | ECセレクトショップ「TRANSIC」オープン |
2017年4月 | ECサポートサービス「CiLEL」に業務転換 |
2017年12月 | 地域未来牽引企業選定 |
2018年4月 | CiLEL自社サイトをリニューアル |
2018年5月 | 東京オフィスを目黒へ移転 |
2019年2月 | ふくいグッドジョブ女性表彰受賞 |
「飽きっぽさ」は行動力の裏返し、「やってみなわからん、やったことしかのこらん」という三上氏の座右の銘に人生チャレンジする勇気をいただきました。
ビジョンに向かって突き進む三上氏の次なる一手が非常に楽しみです。